キッチンバサミは、鶏肉を切って、海苔を切って、袋を開けて、と1日に何度も手に取る道具です。そのわりに洗い方は「包丁と同じでいい?」「分解しないとだめ?」「生肉の後は消毒?」と、分からないまま使っている人が多いです。
キッチンバサミの洗い方は、刃を全開にして食器用洗剤で洗い、ネジのまわりを歯ブラシでこすり、水気を拭いて開いたまま乾かすのが基本です。刃物メーカーの案内と台所の手入れの解説をもとに、初めての人が迷うところを質問の形で並べて答えます。
毎日の洗い方は?刃を全開にして洗剤で洗う
使った後は、包丁と同じように食器用洗剤とスポンジで洗います。違うのは、刃を最大まで開いてから洗うことで、閉じたままだと刃の重なりとネジの根元に肉の脂や海苔のかすが残り、においとさびのもとになります。手順は次の6つです。
- 刃を最大まで開く
- 食器用洗剤を付けたスポンジで、刃の重なる部分に差し込むように洗う
- ネジのまわりと持ち手の付け根を、古い歯ブラシでこする
- ぬるま湯で、すき間に流し込むようにすすぐ
- キッチンペーパーか布巾で、ネジの奥まで水気を拭き取る
- 刃を開いた状態で立てて置き、完全に乾かしてからしまう
洗うのは使った直後が一番楽です。脂が固まる前なら、洗剤だけで落ちます。シンクに置いたまま夕食を終えると、脂が白く固まって歯ブラシが要ります。
分解できるハサミは、毎回分解するの?
毎回は要りません。分解して洗うのは、生肉や魚を切った日、においが気になったとき、ネジのまわりに汚れが見えたときの3つで、普段は開いて洗うだけで足ります。分解式のハサミは、刃を90度以上に開くとネジの部分が外れて2枚になり、重なりの内側まで洗えます。
分解した2枚は、それぞれ洗剤で洗って拭き、乾いてから組み直します。組むときは刃の向きを間違えないように、外したときと同じ向きで重ねます。週に1回、分解して洗う日を決めておくと、においが付く前に済みます。
食洗機に入れていい?
製品によります。オールステンレスで「食洗機対応」と書かれたハサミは入れられますが、持ち手が樹脂のものやネジにばねが入っているものは、熱と洗剤で樹脂が傷んだりさびたりするので手洗いにします。入れる場合も、刃を開くか分解した状態で、ほかの食器と当たらない位置に置きます。
食洗機から出した後は、乾燥が終わっていてもネジの奥に水が残っていることがあります。一度拭いてから、開いたまま置いておくとさびません。
生肉や魚を切った後は、消毒が要る?
毎回の消毒は要りませんが、生の鶏肉や魚を切った日は、洗った後に一手間足します。洗剤で洗ってから、80℃前後の熱湯を全体に回しかけるか、乾いた刃にキッチン用のアルコールを吹きかけて乾かすだけで、菌はほとんど残りません。長時間の煮沸は、ばねや樹脂の持ち手を傷めるので避けます。
塩素系の漂白剤は、金属を傷めてさびの原因になるので、キッチンバサミには使いません。まな板と同じ感覚で漬け置きするのは避けてください。
- 熱湯:80℃前後を回しかける。煮沸や漬け置きはしない
- アルコール:洗って乾かした後に吹きかけ、自然に乾かす
- 塩素系漂白剤:使わない。金属がさびる
- 生肉と野菜を続けて切るなら、間に一度洗うか、ハサミを2本に分ける
さびてしまったら、もう使えない?
点のようなさびなら落とせます。クレンザーか目の細かい紙やすりでさびの部分だけをこすり、洗剤で洗って、拭いて乾かします。さびが刃の合わせ目まで広がって切れ味が戻らないなら、無理に磨くより買い替えた方が早く、100円ショップのハサミなら手入れの手間より新しい1本の方が安く済みます。
さびる原因のほとんどは、閉じたまま濡れた状態で置いたことです。乾かし方を変えるだけで、次のハサミは長持ちします。
ネジが固くなって開きにくい。どうする?
ネジのまわりに脂と汚れが固まると、動きが重くなります。分解できるなら外して洗い、できないならネジのまわりを歯ブラシと洗剤でこすってすすぎます。乾かした後に、ネジの部分にミシン油か食品に使える油を1滴垂らして開閉すると、動きが戻ります。サラダ油は酸化してべたつくので、長く置くなら食品機械用の油を選びます。
切れ味が落ちたら、研げる?
研げます。ハサミ用の溝が付いた研ぎ器なら、刃を溝に差して数回引くだけで切れ味が戻ります。包丁用の砥石で研ぐと刃の角度が変わって閉じなくなることがあるので、ハサミ用の研ぎ器か、分解式なら刃の外側だけを軽く研ぐのが決まりです。アルミホイルを数回切ると切れ味が戻る、という方法は、刃を傷めるので勧めません。
しまい方は?開いたまま乾かして、乾いた場所に
乾いていれば、閉じてしまって構いません。乾いていないうちにシンク下の引き出しにしまうと、湿気でさびます。壁のフックに掛けるか、水切りかごに立てておくと、次に使うときまでに乾きます。包丁と同じ引き出しに入れるなら、刃どうしが当たらないように仕切りを付けます。
100円ショップのハサミと3,000円のハサミ、手入れは違う?
洗い方は同じですが、長持ちのさせ方が違います。100円ショップのハサミは持ち手が樹脂でネジが分解できないものが多く、熱湯と食洗機を避けて乾かすことに集中し、さびたら買い替えます。オールステンレスの分解式は、週1回の分解洗いと年1回の研ぎで10年使えます。
どちらを使うにしても、開いて乾かす習慣だけは同じです。高いハサミも、閉じたまま濡れて置けば1年でさびます。
やってはいけない5つのこと
- 刃を閉じたまま表面だけ洗う。重なりの内側に汚れが残る
- 濡れたまま、閉じたまま置く。さびとにおいの一番の原因
- 樹脂の持ち手やばね付きを熱湯に長く漬ける、食洗機に入れる
- 塩素系漂白剤に漬ける。金属がさびる
- 包丁用の砥石で研ぐ。刃の角度が変わって閉じなくなる
開いて洗い、拭いて、開いたまま乾かす。それだけで長持ちする
キッチンバサミの洗い方は、刃を全開にして食器用洗剤で洗い、ネジのまわりを歯ブラシでこすり、すすいで拭いて、開いたまま乾かす、の繰り返しです。分解式は生肉の日と週1回だけ分解し、生肉や魚の後は80℃の熱湯かアルコールで一手間足し、塩素系漂白剤と包丁用の砥石は使わない。この決まりだけで、さびもにおいも出ず、切れ味も長く保てます。
次に使った後、閉じたまま置いていないか見てください。開いて立てておく。最初の一歩はそれだけです。
元々は充電式のポータブル電源や電動工具分野の専門アドバイザー。現在はキッチン家電や生活家電、カー用品まで幅広く担当しています。「毎日使うものほど、扱いやすさで選ぶ」が持論。
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