同じ豆で同じように淹れているのに、今日は薄い、次の日は苦い。家で淹れるコーヒーがこうなるのは、腕のせいではありません。粉の量とお湯の量を量っていないだけです。コーヒーの淹れ方で最初に決めるのはこの2つで、そこさえ固定すれば味は安定します。ここでは分量の決め方と手順、それから味がずれたときにどこを直すかまでを順に見ていきます。

いつもスプーンで適当にすくっていました。
分量は「粉1に対しお湯15」から始める

粉1gに対してお湯15gが、迷ったときの出発点です。1杯分なら粉14gにお湯210gあたりになります。
この比率は店によって少しずつ違います。並べてみると、思ったより幅があります。
| 出どころ | 粉 | お湯 | 比率 |
|---|---|---|---|
| UCC上島珈琲 | 10〜12g | 160ml | 約14〜16倍 |
| スターバックス | 20g | 360ml | 18倍 |
| 徳山COFFEEBOY | 20g | 260ml | 13倍 |
| LIGHT UP COFFEE | 14g | 230g | 16倍 |
13倍から18倍まで開きがあります。つまり正解の1つは決まっていません。どれか1つを選んで、しばらくそれで固定するのが早いです。
濃いめが好きなら13〜15倍、すっきり飲みたいなら16〜18倍から試してみてください。杯数が増えても倍率は変えません。2杯なら粉28gにお湯420gという形で、そのまま掛け算します。
量るのはキッチンスケールで十分です。メジャースプーンだけだと、豆の焙煎度や挽き方で1杯分の重さが変わってしまいます。
杯数ごとの粉の量も、目安が公開されています。UCCは1杯分10〜12g、2杯分20g前後、3杯分25〜30g前後、4杯分35〜40g前後としています。人数が増えるほど1杯あたりを少し減らす形です。
徳山COFFEEBOYは、仕上がり量を基準にした1対10対13という考え方を出しています。仕上がり200mlなら粉20gにお湯260mlです。コーヒーカップは160ml、マグカップは200mlで計算すると、必要な量が出しやすくなります。
蒸らし30秒までの5ステップ
手順そのものは短いです。器具を温める、粉を平らにする、蒸らす、数回に分けて注ぐ、この4つを外さなければ大きく失敗しません。
ステップ2 フィルターをセットし、湯をかけて紙のにおいを取る
ステップ3 粉を入れ、ドリッパーを軽くたたいて表面を平らにする
ステップ4 粉全体が濡れる量の湯を注ぎ、30秒ほど蒸らす
ステップ5 中心から小さく円を描き、数回に分けて残りを注ぐ
お湯の温度は90℃前後にします。UCCは92〜96℃、スターバックスは90〜96℃、徳山COFFEEBOYは約90℃としています。沸かしたてをそのまま使わず、ケトルに移し替えたくらいがちょうどこの範囲です。
蒸らしで使う湯の量は、全体の5分の1が目安です。徳山COFFEEBOYは260mlのうち50mlと書いています。サーバーにポタポタと落ち始めるまで、という見方でもかまいません。
挽き方は中挽きか中細挽きです。細かくするほど成分が早く出るぶん、抽出の時間が短くなって味を調整しにくくなります。市販の粉コーヒーは、だいたい中挽きに挽かれています。
注ぐときは中心から小さく円を描きます。水面がやや下がったところで次を注ぐ、というのがUCCの説明です。粉全体が均一にお湯に触れている状態を保つのが目的になります。
蒸らしのお湯をかけたあと、ドリッパーを軽く回して粉とお湯をなじませる方法もあります。粉がダマになったまま残るのを防げるので、注ぎ方に自信がないうちほど効きます。
1杯分の全体の時間は2分から3分です。徳山COFFEEBOYは蒸らしから落ちきるまで2分30秒〜3分、LIGHT UP COFFEEは2分で注ぎ切って3分以内に落ちきる形を挙げています。
薄いときと苦いときの直し方
味がずれたとき、あちこち変えると何が効いたのか分からなくなります。動かすのは1つだけにして、まずは挽き目から試すのがおすすめです。
細かく挽くと成分が出やすくなり、甘みとコクが出ます。細かすぎると渋みやイガイガした感じが出てきます。粗く挽くとすっきりしますが、粗すぎると酸味だけが目立って薄く感じます。
注ぎ方でも変えられます。徳山COFFEEBOYは、蒸らしのあとの210mlを110ml、50ml、50mlと配分すると酸味が強めに、70mlずつ3回に分けると苦味が強めになる傾向があると書いています。
時間も効きます。全体をゆっくり注いで3分かけると濃く、2分30秒で切り上げると薄くなります。円を大きく描くほど濃く、中心の1点だけに注ぐと薄くなります。
落としきるかどうかは流派が分かれる
最後のポタポタを落としきるか、途中でドリッパーを外すか。ここは店によって言うことが逆で、どちらが正しいとは決まっていません。
スターバックスは、必要な量に達したら落ちきるまで待たずにドリッパーを外すとしています。最後のほうは雑味が混じるという考え方です。
一方でLIGHT UP COFFEEの川野優馬さんは、最後まで落としきると書いています。豆によっては最後の一滴にも甘みがあり、それが入ることで全体のバランスが取れるという説明です。
両方試して、好きなほうを選んでかまいません。ただし決めたら毎回同じにします。ここが日によって変わると、味のぶれの原因が分からなくなります。

プロでも意見が分かれるところなので、好みで決めて大丈夫です。
毎回同じ味にするために固定する3つ
最後に、明日から何をすればいいかをまとめます。粉とお湯の比率、注ぐ時間、お湯の温度。この3つを固定して、挽き目だけで味を調整します。
比率を16倍に決めたら、しばらく変えません。注ぐ時間も2分と決めて、タイマーで測ります。温度は沸かしてケトルに移した状態で毎回そろえます。
そのうえで、甘みが足りなければ細かく、渋ければ粗く挽きます。動く変数が1つだけなので、どちらに動かせばいいか分かりやすくなります。
もう1つ、注ぐ前の一手間があります。サーバーの中は上と下で濃さが違うので、カップに注ぐ前に軽く揺すって混ぜてください。これだけで最後の一口まで味がそろいます。
スケールとタイマーがあると、この固定作業がぐっとラクになります。スマホのタイマーと料理用のはかりで十分です。

明日はスケールを出して、14gと230gで淹れてみます。
砂原しんご多くの製品をレビューしてきたガジェットライター。資格勉強にiPad+互換ペンを愛用しています。販売店などからリサーチして最新の情報をお伝えするように努力しています。


